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携帯電話の電源の切り方を知らない人がいる―三越劇場が観客の電源オフを手伝う取り組みを始める

提供:三越劇場

提供:三越劇場

東京都中央区の三越劇場が行った親切な鑑賞マナーの案内が話題になっている。同劇場に経緯について取材した。

客席をまわって電源オフを手伝い

劇や映画の鑑賞時には、携帯電話をはじめ音の出る機器の電源を切るのがマナーとされており、多くの劇場が公演前に携帯電話等の電源をオフにするよう呼びかけている。

それでも公演中にスマホが鳴ったりバイブレーションが響くことはしばしばあるが、解決策のひとつとして、三越劇場が行っている案内に注目が集まっている。

先日、Twitterに三越劇場で開演前に係員が「携帯電話の切り方が分からない方はお手伝いいたします」と呼びかけながら通路をまわっていたというエピソードが投稿された。

その案内を聞いて多くの観客が係員にスマートフォンを差し出し、電源の切り方を教えてもらっていたそうだ。

提供:三越劇場

提供:三越劇場

一歩進んだ三越劇場のこの案内方法は、ネット上で話題を呼んだ。

「ありがたい」「良い成功例」「こういうリスクの根源を探るのが必要だったのか」「だだアナウンスするだけでなく、もう少し工夫が必要なんだなと感じました」といった声が寄せられ、話題となっている。

切り方が分からない・習慣がない人のために

三越劇場は1927年(昭和2年)に、「三越ホール」の名称で、世界でも類を見ない百貨店内の劇場として日本橋三越本店6階に誕生。

関東大震災で大きな被害を受けた日本橋三越本店の再建にあたって「建物だけでなく、文化的な復興を」という思いから作られた同劇場の装飾様式は、日本橋三越本店(本館)が2016年7月に国の重要文化財指定を受けるにあたって高く評価されたそうだ。

90年を超える歴史ある同劇場では現在も、演劇や落語会、トークショーやクラシックコンサートなど、幅広いジャンルの公演が開催されている。

提供:三越劇場

提供:三越劇場

提供:三越劇場

提供:三越劇場/ステンド天井

携帯電話の電源オフを手伝うという親切な案内は、どのように導入されたのか。

三越劇場の齊木由多加(さいき・ゆたか)さんに話を聞いた。

—–この案内はどのような経緯で始めたのですか?

三越劇場では現状建物の構造上の課題があり、携帯電話抑止装置を設置しておりません。

そのため日頃より携帯電話の電源をお切りいただくよう、丁寧なご案内を心がけております。

現在上演中の公演は静かなシーンも多いことから、主催者さまとご相談をさせていただき、これまで行っていたご案内を更に進化させました。

これは日々ご案内をさせていただく中で、ある一定の世代のお客さまの中には携帯電話の切り方がわからない、あるいは習慣がないことを知った経験が生かされました。

そのため、携帯電話を切るお願いをするに留まらず、切るお手伝いをさせていただく気持ちが大切であるという今回のお声掛けに至りました。

なお、案内の仕方は公演によって若干変えているという。

提供:三越劇場

提供:三越劇場/齊木由多加さん

初の試み、多くの観劇者が利用

—–すべての公演で、このような親切な案内を行っているのですか?

三越劇場では日頃より携帯電話の電源をお切りいただくよう丁寧なご案内を心がけており、お客さまよりお問い合わせをいただいた際には電源を切るお手伝いをさせていただいておりました。

ただし「携帯電話の切り方をご存じでない方はお手伝いをさせていただきます」と場内でお声掛けにまわるのは、今回(6月6日から上演中の公演)が初めての試みです。

今回のご案内方法での経験を参考にし、今後も公演内容やご来場いただくお客さまのご要望に合わせたご案内に努めてまいります。

—–同案内への、観客の方の反応を教えてください。

場内にて「携帯電話の電源をお切りするお手伝いをさせていただきます」とお声がけを続けることで、これまで切り方をご存知でないお客さまより数多くのお声がけをいただきました。

提供:三越劇場

提供:三越劇場

心地よい劇場空間づくりへの一歩に

—–この案内を始めたことで、どのような効果が出ていますか?

多くのお客さまにご協力いただけたことにより、結果として多くの皆さまにとって心地良い劇場空間づくりにつながる一歩となりました。

普段であれば聞き流してしまうご案内も、私どもから丁寧にご説明にあがることで、ご注目いただけた結果であると大変ありがたく存じます。

提供:三越劇場/ロビー

提供:三越劇場/ロビー

—–この取り組みに込める思いと、劇場運営において大切にしていることは?

今回につきましては特別な対応をさせていただいたという想いではなく、常日頃より三越劇場の係員全員が心がけているご案内の精神の延長線上にあるものと考えております。

これからも、ご来場いただくすべての皆さまにとり心地よい劇場空間をお楽しみいただくため、より良い空間づくりに努めて参ります。

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Text by 長澤まき

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