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理由を問わず転勤を最大3年猶予。JXTGエネが「転勤猶予カード」を導入した狙い

提供:JXTGエネルギー

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3年間を限度に転勤を猶予する「転勤猶予カード」について、JXTGエネルギーに取材した。

新人事制度「転勤猶予カード」が話題に

全国展開している会社で働く多くのサラリーマンにとって、避けて通れない転勤。キャリアアップなどのメリットもあるが、子育てや介護など家庭の事情で転勤に頭を悩ませているという人も多いのではないだろうか?

そんな中、石油元売り最大手のJXTGエネルギー(東京都千代田区)が7月から、新しい人事制度「転勤猶予制度(転勤猶予カード)」を取り入れ、注目を集めている。

同制度は、会社が認める範囲で一定期間、転居を伴う異動を猶予する仕組み。個人の事情により、社員が転勤を希望しないことを申し出た場合、同カードを利用すると、3年間を限度に原則として転勤を猶予する。

勤続4年未満の社員・出向者・再雇用契約社員・海外駐在者を除く、同社の社員が対象だ。

提供:JXTGエネルギー

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同制度について、ネット上に「働き方も変わっていくんですね」「もしこのカードがあったら、絶対あの時使ってた!って時が一度ある」といったコメントが寄せられている。

優秀な人材の確保、多様化に応える

JXTGエネルギー人事部勤労グループの新井健吾さんに話を聞いた。

—–同制度はどのような経緯で導入したのですか?

JXTGエネルギーは、転勤を事業運営および人材育成の観点から必要かつメリットがあるものと捉えており、これまでは自己申告の場で配置・異動に関する希望を聞き、従業員個別の事情を可能な範囲で配慮したうえで転勤を行ってきました。

今回の「転勤猶予カード」は、優秀な人材の確保の観点や、育児・介護・結婚・持ち家取得などを含めて多様化する社員の事情や要望に応える形で、制度として本人の希望に沿って転勤を最大3年間猶予する仕組みを導入し、積極的に対応していくこととしたものです。

提供:JXTGエネルギー/新井健吾さん

提供:JXTGエネルギー/新井健吾さん

理由を問わず利用可、キャリアを考える契機に

—–同制度を導入するにあたってこだわった点は?

個人の様々なニーズに応えるために、制度の利用に際して理由を問わないところがポイントです。

育児・介護のため、家を購入したばかりのため、結婚を控えているため、など様々な理由があると思いますが、それらに対応することができます。

また、社歴において1回のみしか利用できない制度であるため、利用にあたって自身の長期的なキャリアプランをじっくり考えてもらう良いきっかけにもなると考えています。

—–同制度の利用状況は?

2019年7月から申請を開始した制度であり、現状、2020年度以降の制度適用申請を受け付けている段階ですので、まだ利用者はいません。

提供:JXTGエネルギー

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いきいきと働き続けられる会社を目指す

同社は他にも、配偶者の転勤に同行するために休職(退職)できる「配偶者転勤同行休職(退職)制度」や、配偶者に国内転勤等が発生した場合に特定地域への移動希望を会社に伝える「配偶者転勤同行チャレンジ制度」など、柔軟な働き方を可能にする人事制度を積極的に追加・拡充している。

配偶者転勤同行休職(退職)制度は、退職した場合でも一定の基準を満たす場合は再雇用の機会を設けることで、それぞれの事情やニーズに応じて断続的に勤務できる選択肢を拡充する。

—–これらの施策を導入することで、どのような効果が出ていますか?

具体的な数値は控えさせていただきますが、転勤に関する制度の利用により、離職防止につながっています。

配偶者転勤同行休職制度は2019年4月から開始したばかりですが、制度の適用者は2019年8月時点で複数名おり、制度が積極的に活用されていると認識しています。

提供:JXTGエネルギー

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—–新しい人事制度の導入や働き方改革に込める思い・ビジョンを教えてください。

JXTGグループは人事基本方針において「高いモチベーションを持って、いきいきと働くことができる環境を整え、従業員が高い生産性を発揮できるようにする」ことを掲げています。

当社はこの方針に沿って「柔軟な働き方」「ダイバーシティ」そして「企業風土」の3つの観点から整理し、「いきいき人事施策」として2018年7月以降に順次、全社展開している最中です。

「いきいき人事施策」を始めた背景として、労働人口が減少する中での優秀な人材の確保(採用競争力強化、社員のリテンション)の必要性と、社員からの提言(育児や介護などの事情を抱えた社員からの働き方に関するもの、男性中心的な企業風土に関するものなど)が問題意識としてあったそう。

加えて、外部のコンサルによる第三者評価においても、同社の人事施策に関して「先進的な取組を行う企業や同業他社と比較しても取組の余地有り」との結果が出たそうだ。

そこで、多様な人材一人ひとりがいきいきと熱意を持って働き続けられる会社となるよう人事制度をいかに改善していくかについて幅広く確認・検討を行った結果、「柔軟な働き方」、「ダイバーシティ」そして「企業風土」の観点に着目して各種制度の導入に至りました。

様々な事情を抱えながら働いている社員に対して、現状の制度からもう一段、柔軟な働き方を実現可能とすることを目指しているという。

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Text by 長澤まき

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