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刺身そっくりの羊羹が話題、こだわりは「本物よりも本物らしく作る」こと

夢菓子工房ことよ/Facebook

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刺身そっくりの羊羹(ようかん)について、三重県四日市市の夢菓子工房 ことよに取材した。

本物そっくりの「刺し身羊羹」が話題に

総菜用パックに入ったマグロと白身魚の刺身。

大葉と菊の花の飾り、大根のツマ、魚の形をした醤油さしまで付いていて、どこからどうみても刺身にしかみえないが、実は和菓子だ。

四日市市にある老舗菓子店・夢菓子工房 ことよの「刺し身羊羹」(1パック648円)である。

刺身は羊羹で、大根のツマは牛乳羹にカルピスを入れたもの、醤油さしの中身は少し醤油を入れた黒糖の黒蜜だという。

夢菓子工房ことよ/Facebook

夢菓子工房ことよ/Facebook

再現性が高すぎる刺し身羊羹はネット上で話題になっており、「凄い職人技」「これは分からんわ」「感動のクオリティ」「手が込んでる」「脳が混乱して刺身を食べたくなる予感」「にゃんこも間違えそう」など、多くのコメントが寄せられている。

普段の菓子作りと大差ないそう

刺身にしか見えない羊羹はどのように誕生したのか?

夢菓子工房ことよの岡本伸治(のぶはる)代表取締役によると、過去に出演したテレビ番組で、料理そっくりにお菓子の素材で作る勝負があり、「うなぎのかば焼き」や「チーズフォンデュセット」そっくりのお菓子を作ったのをきっかけに、本物そっくりの和菓子を作るようになったという。

本物をしっかり見てそのものの肝になる部分を切り取って制作するというのは、普段の菓子づくりで花をしっかり見てその花の形をしたお菓子を作ったり、秋の空を眺めて秋の空の風情のお菓子を作るのとそう大きな違いもなく、非常に好きな作業の1つです。

▼昨年のテレビチャンピオンで作ったチーズフォンデュセット

提供:夢菓子工房ことよ

提供:夢菓子工房ことよ

今回の刺し身羊羹につながった商品は、3月に販売したお寿司そっくりのお菓子「ひな寿司」だという。

普段はお菓子用の箱に入れていたが、よりリアルになるのでは?と総菜用のパックを使用したところ想像以上の人気となり、その流れで刺し身羊羹を作ってみることにしたそう。

本物そっくり和菓子は他にも、土曜の丑の日に販売するまんじゅう「うなぎのかば焼き」など、いろいろと作っているそうだ。

▼3月に作ったお寿司そっくりの和菓子「ひな寿司」

提供:夢菓子工房ことよ

提供:夢菓子工房ことよ

▼土曜の丑の日に販売するまんじゅう「うなぎのかば焼き」

提供:夢菓子工房ことよ

提供:夢菓子工房ことよ

少し誇張し「本物よりも本物らしく」見せる

本物そっくりの和菓子を作るときは、いつも「本物よりも本物らしく作る」ことを念頭に置いているという。

料理をお菓子の素材で本物そっくりに作るというのは非常に難しいです。

一番難しいのは、ご覧になる方の記憶の中にすでにこんな感じといったイメージがあること。そのイメージで見るわけなので、見た感じが自分のイメージする物でなかったら評価されません。

ですから、本物をそのまま再現するのではなく、本物よりも少し誇張した表現にして「本物よりも本物らしく」見せることに力を注ぎます。

見た感じの色目が違えばその時点で評価されないので、刺し身羊羹も本物らしくする工夫として誇張した色付けをしているそう。

スジの入れ方は包丁でカットするのではなく、糸をこより状にねじり、それで一気に切り分けることで刺し身の肌のような質感にしたそうだ。

岡本さんのTikTok(@wagashi.kotoyo)にて、同商品の制作動画を公開している。

wagashi_nobu/TikTok

wagashi_nobu/TikTok

同商品は当初、お盆期間中だけの販売予定だったが、Twitterで話題になったことから8月24日から販売を再開した。

弊社の本店と白梅の丘店の2店舗で販売を24日から再開しましたが、連日昼過ぎには用意したものがすべて完売となる人気です。

遠方からの問い合わせも多く、遠方の場合は冷凍便にて対応させていただいています。

「和菓子は文化を売る商売」

岡本さんは愛知県豊田市の名店で修業後、実家である同店に戻り代表取締役に就任した。

和菓子教室や講演、講師の依頼も多く、今年6月にはフランス・パリで和菓子作りを指導。7月には、全国菓子研究団体連合会のコンテストの盆景菓子部門で金賞に輝いた。

運営会社から声がかかって今年5月半ばに始めたTikTokは、現在5万人のフォロワーがいるという。

提供:夢菓子工房ことよ

提供:夢菓子工房ことよ

和菓子づくりにおいて大切にしている事、和菓子作りに込める思いを、こう話す。

和菓子は文化を売る商売だと思っています。

海外で講師などをする経験の中で、日本の文化を表現する和菓子を作れることは海外の人から尊敬される対象になるということを知りました。

そして、国内においてもまだまだ需要のある分野です。

ただ、世代によってはあまり触れることのない世代もいることも事実です。そういったところに発信できるように今回の「刺し身羊羹」ではないですが、見ていただく人がほっこりするような和菓子を作っていきたいと思います。

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Text by 長澤まき

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