HOMEインタビュー インターンで味わった、初めての"至らなさ"…「周りと比べる」ではなく「周りから学ぶ」ことで前に進める

インターンで味わった、初めての"至らなさ"…「周りと比べる」ではなく「周りから学ぶ」ことで前に進める

白井恵里子

2022/08/29(最終更新日:2022/08/29)


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山口蒔史さん/提供:インターステラテクノロジズ株式会社

優秀な同期や同僚に囲まれていると、つい「自分の至らなさ」や「力不足」ばかりに目がいってしまって、苦しい思いをしてしまうことはありませんか?

そんな時はどのように気持ちを整え、前に進んでいけばよいのでしょうか。

インターステラテクノロジズ株式会社の山口蒔史さん(23)は、小学生の頃から「宇宙にかかわる仕事に就くこと」を目標に勉強を続けてきました。

目標に向かって順調に突き進んできた山口さんですが、同社でインターンを始めた時、同世代インターン生と自分を比べてしまい、自信がなくなってしまうことがあったそうです。

しかし、恩師からのある言葉がきっかけで、「周りと比べること」から卒業。今はさらなる高みを目指して日々の仕事に臨んでいる山口さんに、詳しく話を聞きました。

「誰もが宇宙に手が届く未来」をビジョンに掲げるインターステラテクノロジズ

インターステラテクノロジズ株式会社は、観測ロケット「MOMO」と超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」を独自開発・製造しています。

2019年にはMOMOが、民間単独開発のロケットで国内初の宇宙到着を実現。液体ロケットでの宇宙到着は、民間企業では世界で4社目だといいます。

「誰もが宇宙に手が届く未来」をビジョンに掲げ、ロケット打上げに関するスポンサーを募ったり、他社とコラボレーション企画を実施したり、民間企業ならではの取り組みにも注力しています。

提供:インターステラテクノロジズ株式会社

小学校から宇宙業界に憧れ、目標に向かって突き進んできた

山口さんは、高等専門学校の電子工学科に在学中、同社でインターンに参加。2020年4月に同社へ正社員として入社しました。

インターン時代から、ロケット機体の組み立て、部品の調達、組み立て試験などを行う"組立グループ"に配属。現在は、観測ロケット「MOMO」の組立リーダーを務めています。

-----もともと宇宙やロケットに興味をお持ちだったのでしょうか。

山口さん:小学校高学年の時に、初代の小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還したニュースなどを見て、成功に歓喜しているプロジェクトメンバーの姿などに心を打たれました。

そこからずっと「宇宙にかかわる仕事がしたい」と思い続け、進路設計もそのために行い、技術的な基礎を学ぶために高専に進学しました。

-----インターステラテクノロジズでインターンを始めようと思ったのはなぜですか?

山口さん:高専4年の時にインターンを探していたのですが、JAXAなど大手は倍率がすごく高く、確実に宇宙にかかわる仕事に就くためにはどうしたらよいのだろう…とずっと考えていました。

そんな時に、知人経由でインターステラテクノロジズに出会い、「これはチャンスかもしれない!」とインターンに応募しました。

-----迷わず正式入社の道を選んだのですか?

山口さん:そうですね。大学編入も考えてはいましたが、当時のインターステラテクノロジズは今の1/5ぐらいの人数で、まだルールや仕組みも整っていないスタートアップだったので、「自分でゼロから考えて、色んなことができるのは面白そう」と思って就職の道を選びました。

提供:インターステラテクノロジズ株式会社

自信をなくした時に響いた「周りと比べるのはやめなさい」という言葉

-----入社後、一番印象に残っていることは何ですか?

山口さん:2021年、「ねじのロケット(MOMO7号機)」の打上げが成功し、宇宙空間到達を達成した時ですね。

その前の打上げにもインターンとしてかかわってはいたのですが、7号機の時は自分が担当として組立に携わっていたので、その分感動も大きかったです。

-----打上げ準備の中で、何が一番大変でしたか?

山口さん:本番に向けて数々の試験を重ねていったのですが、試験なので失敗してしまうこともあります。

ただ、失敗したからといって打上げのスケジュールが延期することはないので、期日に間に合うように、ただただ必死でしたね。

機体の数百カ所にドリルで穴を開ける作業があって、全て終了してから「ドリルの選定が間違っていたこと」が判明して冷や汗をかいたことも…。自分が選定したドリルだったので「どうしよう…」と焦りましたが、他メンバーが穴の形状を加工するなどしてフォローしてくれたことは今でもよく覚えています。

-----想像するだけでも大変そうです…。山口さんは小学生の頃から目標が明確で、それに向かって順調に進んでこられた印象ですが、挫折や「あの時は苦しかった」と思うことはありますか?

山口さん:インターステラテクノロジズでインターンを始めるまでは順調だったように思います(笑)。

と言うのも、インターン入社時は、他のインターン生の知識量が多く、圧倒されてしまったんですよね。自分の"至らなさ"や"知識不足"を痛感してしまって、自信をなくしてしまいました。

-----その状態をどのようにして乗り越えられたのですか?

山口さん:当時通っていた高専の先生にそのことを相談したら、「周りと比べるのはやめなさい」と言われて、考え方が大きく変わりました。

当時の私は、芯となる専門知識を持っている他のインターン生に引け目を感じており、「一体、自分はどういう強みをつくっていけばよいのだろう…」と悩んでいたんです。でも、先生からのアドバイスを聞いて「自分なりの強みを見つけていけばよい」と潔い気持ちになれました。

-----「自分なりの強み」は、見つかりましたか?

山口さん:まだ模索中ではありますが、組立チームで手広く色んな仕事を経験していることが、強みになり得るかなと思っています。ジェネラリストとしての強みをもっと磨いていこうかな、と。

提供:インターステラテクノロジズ株式会社

「比べる」のではなく「周りから学ぶ」を意識したい

-----力不足を感じてしまう時、「周りと比べない」以外に意識していることはありますか?

山口さん:「とにかく周りを見て学ぶこと」でしょうか。

実は社内で私が一番最年少なので、どうしても他メンバーとは"社会経験"という観点で差が出てしまうんですよね。そんな時は、チーム内外問わず色んなメンバーを観察して、「比べる」のではなく「周りから学ぶ」ということを意識しています。

-----なるほど。ロールモデル的存在のメンバーもいるのでしょうか。

山口さん:特に「MOMO」のプロジェクトマネージャー(PM)は、やっぱり尊敬しているのでよく見ています。

誰も経験したことのないトラブルやイレギュラーに対しても、頭の回転が速いので的確な判断や指示をサッと出すことができる人です。

今の私は、絶えず降りかかってくる新しいことに対応することで精いっぱいですが、いつかPMとして活躍できたらいいなと思います。手広く経験してきたことを活かして、「なんでもドンと来い!」とどっしり構えられるPMになりたいですね。

-----これから挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください。

山口さん:自分で手を動かしてものづくりすることが好きなので、設計系の仕事にも興味があります。

自分でロケットや関連設備を開発して、いつかの7号機みたいに打ち上げられたら、すごく楽しいだろうなと思います!

-----宇宙業界をこうしていきたい、といった想いもあれば最後にお聞かせください。

山口さん:インターステラテクノロジズとして目指しているのは、トラックや航空機が現在の私たちのインフラを支えているように、ロケットも人々の手が届く存在となって、輸送業として生活の一部になっている世の中です。

そのためには、民間企業が競い合うことでコストを下げていく必要があると思っていますし、一見宇宙とは関わりのなさそうな業界をどんどん巻き込んでいくことで、世の中と宇宙との関わりしろを増やしていきたいです。

-----ありがとうございます。応援しています。

提供:インターステラテクノロジズ株式会社

子ども時代からずっと追いかけてきた「宇宙業界で働く」という夢を早くも叶えることができた山口さん。苦しい時も、悔しい時も、「周りとは比べず、周りから学ぶこと」を意識して行動を重ねてきました。

明確な目標があるからこそ直面する壁もありますが、そんな時は彼の姿勢を思い出し、「自分だけの強み」を磨く努力を続けていきたですね。

出典元:インターステラテクノロジズ株式会社

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