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旅客機の急病人を救ったのはボールペン。大学生のアイデアに賞賛の声

Karttikeya Mangalam/Facebook

Karttikeya Mangalam/Facebook

乗客の急病で緊急着陸するしかなくなった旅客機。だが、乗り合わせた大学生の機知で患者が救われ、緊急着陸が回避されるという、ちょっとしたドラマのような出来事があった。

インドの大学生

今年2月、インド工科大学で電気工学を専攻するKarttikeya Mangalamさんは、交換留学生として滞在していたスイスからインド・ニューデリーに戻るために、モスクワ発の乗り継ぎ便に乗っていた。

すると、2列後ろの席にいた乗客の体調が急に悪くなり、機内にちょっとした騒ぎが起こったそうだ。

1型糖尿病の高血糖緊急症

具合が悪くなったのはオランダ人の乗客Thomasさん(30才)。彼は1型糖尿病で、インスリンポンプ(インスリンを持続的に注入する器具)を使っていたが、モスクワの手荷物検査場でそれを忘れて来てしまっていた。

Thomasさんが最後にインスリン注入を行ったのは5時間前。飛行機の中では、血糖値が危険なレベルにまで上がっていた。血糖値が異常に高い状態が続くと高血糖緊急症を起こし、昏睡や、最悪の場合命の危険もあり得るといわれている。

たまたま医者が乗り合わせていたが

幸運にもその飛行機には医者が乗り合わせていた。しかもその医者自身も糖尿病で、自分用にペン型のインスリン注射器を持ち歩いていた。

Thomasさんは、インスリンポンプの器具は無かったが、それに詰めるインスリンのカートリッジは持っていた。そこで医者は、自分のペン型注射器に形の合わないThomasさんのカートリッジを何とか取り付け、インスリン注射を試みた。

だが、ボタンを押せば出てくるはずのペン型注射器の針が出てこない。それまで普通に使えていたものが、その時になって故障した。ここで、医者もパニックに陥った。

そして、キャビンアテンダントにこう告げたそうだ。

「今すぐインスリン注射が必要だ。そうしないと多臓器不全を起こし、昏睡状態に陥り、最悪のこともあり得る。すぐに緊急着陸するように」

技術系学生が設計図をネットで検索

この様子を見ていたインド工科大学のMangalamさんは、キャビンアテンダントに機内のWiFiを使わせてくれるように頼み、インターネットで壊れたペン型注射器の設計図を探した。

見つけ出したメーカーオリジナルの設計図を詳しく見ると、針が出ないのは単にスプリングがおかしくなっているか、無くなっているせいだと分かった。

そこで乗客からボールペンを提供してもらうようにキャビンアテンダントに頼んだ。するとすぐに、数名の乗客が持っていたボールペンを出してくれたという。

ボールペンを次々に分解し、ペン型注射器に合うものを見つけて取り付けた。医者がそれを使ってインスリンを注射すると、Thomasさんの血糖値は下がり始め、やがて正常に戻った。旅客機の緊急着陸は回避された。

今年2月にあったこの出来事は、インド工科大学の学内誌最新号で記事として取り上げられ、5月7日にツイートされた。ツイートはこれまで1,200回以上リツイートされている。

Thomasさんは、飛行機がニューデリーに到着した後、メディカルチェックのために病院に運ばれた。Mangalamさんもそれに付き添ったそうだ。

「ストレッチャーに載せられた彼(Thomasさん)は僕になんどもお礼を言ってくれました。彼はアムステルダムにレストランと醸造所を持っているそうで、『ぜひ一度来てくれ』と言っていました。行けばきっと料理は食べ放題、ビールも飲み放題になるでしょう!」海外メディアの取材を受けたMangalamさんはこう言っている。

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Text by Sophokles

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