シェア

「新国立競技場では世界大会が開けない」為末大も指摘する問題点

123RF

123RF

元陸上競技選手の為末大氏が7月10日、公式サイトで新国立競技場に反対の姿勢を示した。

先日は元ラグビー日本代表の平尾剛氏からも反対意見が出ており、これまでスポーツ界を置き去りにしてきた影響が見え始めている。

新国立競技場では世界大会が開けない!

為末氏は3つの理由から新国立競技場に反対している。

  • サブトラックがない競技場では陸上の世界大会を開けない
  • 自分の知る限り国立競技場の建設に関係したアスリートはいないが、この案を押し通せば「スポーツ界が日本に負担をかけた」と社会のお荷物にされる
  • 日本人として莫大なコストと、回収する見込みが薄い計画に賛同しかねる

特に深刻なのは「サブトラックがない競技場では世界選手権を開催できない」だ。報道では費用のことばかり言われるが、国際的な陸上競技場を目指すなら致命的欠陥。オリンピック期間中は仮設で対応するが終わったら撤去してしまう。

日本陸連でも全天候舗装された400メートルトラックの併設がない場合、競技場として「1種」とは認められない。「2種」の扱いとなれば世界大会どころか、日本選手権開催の条件すら怪しい。

典型的なコンペあるあるとして見る新国立競技場

先日NHKの『クローズアップ現代』で、新国立競技場のデザイン選定から現在までの流れが特集された。その中に「まさか東京が招致できると思っていなかったため、あれよあれよという間の出来事だった」という言葉があった。

どうせ望み薄なんだから、一番派手な人目を引くデザインで一発かましてやれと参加したら当選し、慌ててコストの計算と実現可能性を探り始めたというのが本音ではないか。

この時点で完全な炎上案件だが、世界に向け大きなことを言ってしまった手前、引っ込みがつかなくなっている。

誰ひとり必要性を強く訴える人間がいない

報道では2520億円という金額が繰り返され「高い、高い」と批判されているが、この額はまだ上がる可能性ある。開閉式の屋根や可動式の座席を作る費用は含めてないからだ。

また今後も陸上競技場として利用し続けるなら、サブトラックは絶対に必要となる。

新国立競技場の件で筆者が気になるのは、誰ひとりとしてその必要性を熱く訴える人間がいないことだ。責任をたらい回しにし、「もう決まったことだから」「時間がないから」と繰り返すばかり。

「どんなに反対されても、これは必要な国家プロジェクトなんだ。俺たちは絶対やり遂げるんだ」と語る人間は現れない。

リーダーシップや責任を取ろうとする人間がいないまま、負担だけは後世の人間に残そうとしている。

Posted: |Updated:

Text by 岩藤健

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング