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なぜ地方の大学生が地方を離れるのか?第1回:東京は遊ぶところが多いから?

座談会に参加した5人の学生たち

座談会に参加した5人の学生たち

「地方創生」が盛んに叫ばれている。

一方、毎年数万人の地方学生が首都圏で就職する。

上京した彼らは多額の交通費と滞在費を掛けて、スマートフォンで地図と就職情報サイトから届く通知を確認しながら就活に励んでいる。

話し合う学生たち

話し合う学生たち

全3回となる本連載は、東京で就職を考える学生たちの座談会を通して、現代の若者が地方と東京をどのように比べているのか明らかにしたい。

【第2回:東京は未来志向、地方は過去志向?

【最終回:若者にとって地方はいいところ?

集まってくれたのは北海道、秋田、岩手、愛知の4道県出身の5人。

現在は地方学生の就活を支援する(株)地方のミカタでインターンをしながら、同社のシェアハウスで都内に滞在している。

1回目は、なぜ東京に興味を持ったのか。前向きな理由、現実的な理由が率直に飛び交った。

※学生の名前はすべて仮名です。

地方の大学を選んだ理由は?

筆者:今回は集まって頂き、ありがとうございます。

私も地方出身なので今回の座談会を楽しみにしていました。きょうはよろしくお願いします。

学生さんたち(以下、みんな):よろしくお願いしまーす!

筆者:まずはじめに聞いてみたいんですが、大学進学の時点で地方か都会かで悩んだと思います。

どうして地方の大学に進んだのでしょう?

りな:私はもうお金が限られていたので地元しか考えませんでした。

りなさん3

筆者:親御さんからですかね……?

りな:本当は京都の大学に行きたかったんです。でも、県内じゃないと難しいって。

さとみ:あたしもほぼ一緒ですね。

さとみさん
さとみ:下に兄弟が2人いるので、やっぱり全員大学に行くとすると、国公立でなおかつ近いところじゃないとだめってことで、東北地方で考えました。下の2人も東北の学校です。

筆者:みんなも同じ感じでしょうか?

ゆうすけ:私はちょっと残念な理由もあって、行きたかった大学に落ちたので地元になっちゃった感じです。

ゆうすけ

ゆうすけ:経済を学びたくて理系から文転したんですが、それでも行けるところを探していちばんいいところが滋賀大だった。目指していたけど、落ちたので地元に。

つーちゃん:僕も第一志望に落ちて。

つーちゃん3

つーちゃん:もともと農学部に行きたかったんですが、研究フィールドが充実しているのが北海道・東北。その中で確実に入れるところってなると、弘前大学農学部だった。

筆者:研究環境が充実してたってことですね。

つーちゃん:ええ。入学当初は、研究をがっつりやりたかったんです。院まで行って研究職に就くつもりでしたから。

みおり:へぇ~意外ですね!

筆者:みおりさんも?

みおりさん3

みおり:ざっくりそんな感じです。ただ、私は岩手出身なので地元に残ったわけではなく、やりたいことができる国公立大学の学部で選んだ感じでした。

筆者:国公立はやっぱりお金の面で?

みおり:そうですね。兄がいたので。

筆者:なるほど。すると、みんなは東京に長くいるのは就活が初めてなんですね!

みんな:そうです(うなずく)。

座談会10

働くことはポジティブだと知った

筆者:次の質問です。東京に興味を持った理由を聞かせてください。

ゆうすけ:僕のきっかけは、3年の6月に東京であった就職情報会社のインターンシップ合同説明会に参加したことでした。

そこの社員さんがめちゃめちゃ生き生きしていたんです。会社の概要やインターンの内容を聞いて、めっちゃ面白いって!

そこで引っかかったのが、働くってこんなにポジティブなことなんだなって。

ネガティブな印象だったけど、わくわくしながら働く人がこんなにいることを見て、東京はすごいなと感じたからでした。

座談会4

筆者:地方だと社会人はみんな暗い顔して働いているってイメージでしょうか?

ゆうすけ:自分は社会人とあまり関わる機会はなかったんですが……周りの社会人たちを見ていて『働くことは完全にお金を稼ぐ手段だけだよ』って教わっていたし、すごく楽しくなさそうに働く人たちが多かったので。

印象と全然違ったからこそ、東京は面白そうだなって興味を持ちました。

座談会5

つーちゃん:なんだろう……フツーに就活を考えるようになって色んな情報収集をするようになった時に、引っかかる情報が東京のものが多かったことですね。

色んな人たちの話を聞いて、やっぱり技術とか情報とか人の流れが集まる印象があって。新しいことしたいなら東京かなって。

筆者:志望は研究系のお仕事?

つーちゃん:研究職に限らず、将来、環境事業をつくりたいって夢があるんです。色々調べててこっちに来ている感じです。

女性が働くことは楽しいんだと教わった

りな:あたしは就活の動き出しがすごく遅くて、2月ごろからスタートしたんです。

最初は地元で就職を考えていたんですけど、なりたい自分だったり地元でやりたいことが全然見えてこなくて、タラタラと就活をしていました。

たまたま東京の就活イベントに出る機会があって。そしたら、すごくバリバリ、目をキラキラさせて働いている女性の方にお会いしました。

その人が『女性が働くことは楽しいんだよ』って教えて下さったので、自分の理想像がその方になったんです。

筆者:たしかに、東京の女性ってみんなきれいなイメージですよね。

本田さん

りな:周りが結婚だったり出産で仕事を辞めたいと言って、辞められる仕事を探している中で、こんなに子供を産んでもバリバリ働いている人って相当かっこいいなって憧れているんです。

筆者:地方だと女性は働きにくいって見えるところがあるんでしょうか?

りな:特に愛知県だとメーカーが強いので、男性が営業、女性は事務職っていうパターンがすごく多い。あたしがなりたい社会人の像は愛知にはないなと。

あと、祖母が70歳まで現役で会社で働いていたので、そういう姿に憧れているのもあります。祖父が興した会社だったんですけど。

みんな:すげぇ~。

座談会13

筆者:愛知だとけっこう経済が盛り上がっているイメージがありますが……?

りな:あたしの大学だと女性は8割が保険か銀行。2割がメーカーの事務職。だから、就職先がないんです(笑)

みんな:えーっ!

保守的なところばかり目に

加藤さん

筆者:さとみさんはどう?

さとみ:あたしは、うーん、弘前でも地方創生のイベントに携わっていて、地方にも面白い人がいるのは分かるんですけど……。

やっぱり自分が就職する先を考えた時に、地方だと銀行だったり公務員だったり保守的なところしか目につかなくて。

そうすると、職種も限られてくるなと思って。

東京に行ったら職種もいっぱいあるし、ベンチャーとか先進的な企業の人にも会えて違うかなって思って。

でも、あたしはまだ、東京か地方かはフィフティーフィフティーで決めかねている状況です。

佐藤さん

みおり:私は兄が東京と仙台で就活をして、単純に選択肢の幅が広いと聞いていたので。

筆者:今の宇都宮や地元の岩手は職種が狭いなあと感じるんですね。

みおり:それはありますね。あまり岩手に20代のうちから帰って仕事をするイメージが湧かなかった。

宇都宮でも、それはもっと湧かなくて。宇都宮も好きですけどね(笑)

将来への閉塞感

座談会の前半で分かったのは、地方学生が東京に興味を持つきっかけが、決して高い求人倍率やにぎやかな遊び場といった表面的な要因に限らないことだ。

もちろん、若者の進路は東京か地方かという二項対立だけで語れない。

しかし、学生たちが将来を考えた時、地方の現状に閉塞感を抱いているのは確かと言えよう。

座談会2

「第2回:東京は未来志向、地方は過去志向?」では、地方の良い点と気になる点について意見を交わす。

「安定志向の風が流れている」など、次回もみんなの本音が飛び出す。

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