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サバ好きの縁から始まった世田谷・経堂の「八戸サバまつり」に行ってきた

店舗の飾り棚に並ぶサバの缶詰

店舗の飾り棚に並ぶサバの缶詰

東京都内のある街が、地方自治体との連携に取り組んでいる。

12日まで八戸サバまつり

世田谷区経堂(きょうどう)の飲食12店で3月8日から、青森県八戸市をテーマにした「八戸サバまつり2017」が開かれている。

参加店は12日まで、八戸産の地酒やサバを使った料理を提供する。

「サバの日」だった8日は、イベント酒場「さばのゆ」で市の観光課や地元の水産加工会社も協力し、酔客をもてなした。

八戸サバまつりを開く「さばのゆ」であいさつする店主の須田さん(右)

八戸サバまつりを開く「さばのゆ」であいさつする店主の須田さん(右)

経堂の個人商店では「全国の産地とのコラボ」と題し、積極的に地方の物産を取り入れたイベントを開催している。

これまでに長野県中野市のきのこや和歌山県の南高梅などが題材に。八戸サバまつりは今年で3回目だ。

小田急線・経堂駅を中心とした高級住宅地で、なぜ地方自治体と連携するのか。

中心的な役割を担うさばのゆの店主・須田泰成さん(49)に背景を聞いた。

経堂駅(2011年4月)出典元:Wikipediaコモンズ

経堂駅(2011年4月)出典元:Wikipediaコモンズ

街の活性化と地域おこしの両立

大阪府出身の須田さんだが、経堂地区が気に入り、2000年から街の活性化のため「経堂系ドットコム」という案内サイトを開設。地域の情報発信に努めている。

07年ごろから、街の活性化につなげようと積極的に地方の食材を取り上げるようになる。

09年6月に、自身が好きなサバの缶詰と銭湯を店名に取ったイベント酒場「さばのゆ」を開店した。

店舗の飾り棚に並ぶサバの缶詰

店舗の飾り棚に並ぶ八戸産のサバの缶詰

美味しいサバ缶を探すうち、八戸市や宮城県石巻市の水産加工業者とつながりを持つように。

石巻市の「木の屋石巻水産」が東日本大震災で設備を失った際には、街を挙げてサバ缶を売り、売り上げを寄附する企画を展開した。

農大と歩む食べ物の街

経堂には戦後移転してきた東京農業大学があり、学生街としての色も濃い。

須田さんによると、全国から集まる農家や農産関係者の跡継ぎとなる学生たちが、帰省時の土産物をアルバイト先の店に持ち込むうちに、「自然と地方の食べ物を取り入れる空気ができていた」という。

店内で振る舞われたサバ寿司

店内で振る舞われたサバ寿司

サバまつりを訪れ、経堂で飲食店の経営経験がある清水いくえさんが街の雰囲気を分析する。

経堂には地元に戻った学生さんが、学生時代に世話になった店に自分の所の野菜を卸したりする文化があります。

東京は親が地方の出身という人が多いから、どこか田舎的な物に惹かれてしまう人が少なくのかなと思います。

サバ寿司を楽しむ来店客

サバ寿司を楽しむ女性客

「感度の高い人にPRを」

3月8日は関係者ら約20人が来店し、地酒を手にサバ寿司や水煮に舌鼓を打った。

八戸市の歴史講座や水産加工会社味の加久の屋の社員による缶詰の解説があり、盛り上がりを見せた。

缶詰を手に熱弁を振るう水産加工会社の社員

水産加工会社の社員(右)が缶詰を手に熱弁を振るう

同市には、リンゴやねぶた祭りが有名な同じ青森県の津軽地方(青森市や弘前市など)に比べて首都圏での知名度が劣るという意識がある。

経堂は情報感度が高い人(流行に敏感な人)が集まっている街。

そういった一般の方にPRすることで、草の根的に八戸の良さが伝わっていくことを期待している

(八戸市観光課の担当者)

サバ寿司を味わう若い女性客

サバ寿司を味わうイベント関係者の女性

都内では経堂のほか、杉並区の代田橋(だいたばし)駅近くの「和泉明店街」が、沖縄県出身者が多く住むことから「沖縄タウン計画」を進めているなどの例がある。

長年、百貨店やショッピングモールといった大型商業施設やスーパーでの物産展の形が主流だった地域プロモーション。

個人商店を基礎とした「街単位」での大規模なイベントは、受け手側が没入感や親近感を得やすい効果があるだろう。

八戸産のイカの塩辛を味わう来店者

八戸産のイカの塩辛をつまむ男性客

須田さんは、地域経済の将来に強い危機感を持つ。

商店街の衰退は、経堂も例外ではありません。

日本全体の人口が減る中で、地方自治体には国の助成金がなくなったら経済が止まるような所も少なくないと思っています。

そういった地域と“楽しくつながる”ことで、常連さんを掴んでいく必要があります。

文化人が行き交う高級住宅地で、かつ農業大学の学生街という2つの特性が光る経堂の街。

新たな取り組みから、これからも目が離せない。

【特設ページ】経堂系ドットコム「八戸さばまつり」(http://www.kyodo-kei.com/2017/5943.html)

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