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「仙台牛」を東京に出荷できる喜び…全頭検査を続け信頼回復、震災前より高い価格に

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

3月8日に東京のJR神田駅南口に焼肉店「焼肉グレート ROOM」がオープンした。多くの個室と高級感のある内装を備えた店舗で、ビジネス街の接待需要を見込む。

提供されるメニューのひとつには、宮城県の高級牛肉ブランド「仙台牛」のコースが用意されている。

「東京で仙台牛を使ってくれるお店があるのは、本当にうれしいですよね」と喜ぶのは、JA全農みやぎ畜産部の酒巻岳仁さんだ。

2011年3月の東日本大震災から7年。高級ブランド・仙台牛は地道な努力で価値を守っている。

JA全農宮城県本部の酒巻さん

JA全農みやぎの酒巻岳仁さん

日本一厳格な高級牛肉

仙台牛は、宮城県産牛のうち(社)日本食肉格付協会の枝肉取引規格で質が高いとされる「A5」「B5」に分類されたものを仙台牛と認定している。これほど厳しい基準を設けるブランドは、日本で唯一「仙台牛」だけだ。

もち米を食べさせながら、一般的な肉牛より長い30~33カ月程度飼育。脂質と赤身の程よいバランスと、口どけまろやかな肉感が売りである。

宮城県や県内農協などでつくる仙台牛銘柄推進協議会が主導となり、ブランド管理と普及活動を行っている。全国肉用牛枝肉共励会では、最高賞の名誉賞(和牛去勢牛部門)に2年連続で輝いた。

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

原発事故で今なお全頭検査

福島第一原子力発電所の事故直後、一時、暫定基準値を超える放射性物質が検出された稲わらを食べた牛が流通したことで、宮城県の農産・畜産物は大打撃を受けた。

「震災の直後は、枝肉がまったくと言っていいほど売れなくなりました。畜産農家が生活を懸けた牛ですから、つらかったと聞いています」(酒巻さん)

震災前に2100~2200円前後だった枝肉単価(1キロあたり)は、2011年は1800円台に急落した。

信頼回復に向け、仙台牛と判定対象となる県産牛は、2011年8月から放射性物質の全頭検査を実施し、現在まで安全性を証明する「検査結果通知書」を取り付けて出荷している。

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

地道な取り組みの継続で、震災翌年には2000円台、2013年には2100円前後、2014年には震災前の同水準となる2200円前後まで価格を戻した。

現在は2700円台まで上げるに至っている。

「えさの心配をされるお客様がいらっしゃいますので、今でも証明書類を付けて出荷しています。

対応を推進協議会に集約したことで、信頼回復は比較的早く進んでいます。ブランド力も徐々に上がってきていると感じますね」(酒巻さん)

「ひと切れずつ味わって」

焼肉グレートを運営する株式会社イマジネーション(栃木県宇都宮市)は、震災以前から宮城県産牛を扱い続けている。安定的な品質と生産量を高く評価しており、宮城県の畜産農家に社員を派遣するなどの研修を行っているそうだ。

酒巻さんも、牛肉に真摯に向き合ってくれていると感じている。

「東京で仙台牛を使ってくれるお店があるのは、本当にうれしいですよね。

生産者一人一人が2年半かけて育てた牛です。ひと切れずつ味わって食べてほしいです」(酒巻さん)

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

仙台牛=焼肉グレートROOMにて

食材の安心のため、心を砕く生産者がいることを噛みしめたい。

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Text by 漆舘たくみ

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