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青森で888メートルのタワー建設へ!新聞社が本気で書いた「フェイクニュース」の狙い

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日、青森県である新聞のニュースが市民をにぎわせた。

「そびえ立つ世界最高888メートル」

「2030年 青森五輪案」

「キリストの墓 義経の墓説 有力」

「太陽系 宇宙クルーズ 7泊8日」

新聞にもかかわらず、見出しにはうさん臭い言葉が堂々と並ぶ。

発行した青森県八戸市のデーリー東北新聞社に確かめた。

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

読者の共感を呼ぶ新聞に

……お察しの通り、上述のニュースはエイプリルフールに合わせた“大うそ”だ。

1枚2面のうその紙面は、本来の新聞にはさめる形で配達され、日曜日の朝の読者たちを驚かせた。よく見えると、見出しのあちこちに「うそ」「USO」といった表記が見える。

「デーリー東北」は、八戸市を中心に青森県東部から岩手県北部を取材範囲にしている新聞社。終戦間もない1945年12月に創刊した歴史ある一般紙で、地元で高いシェアを誇る。2017年度には、紙面デザインに力を入れた経済特集がグッドデザイン賞を受賞している。

Twitter上では、地元在住とみられる人々から「デーリー東北がやりおった」「力の入れ方がナナメ上… 好きです」「どうしたデーリー東北w エイプリルフール全力で乗っかってるwww」といった面白がるコメントが続々と投稿された。

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

身近な題材で夢を語ろう

企画のきっかけは、今年1月12日に同社が開いた地方新聞の意義を考えるパネルディスカッションだったという。

4人のパネリストの方からさまざまな意見を頂いた中に、

・客観や主観のさらに上、読者の共感を呼ぶ新聞に
・地方紙はもっと自由に
・地域にこだわりながら、この地域にとどまらない情報発信に期待

というのがありました。懇談会で「エイプリルフール新聞も面白いのではないか」と意見があり、まずはできることからやってみようということで実施となりました。(同社読者センター)

記事の内容は読者が楽しめ、かつ現実味のあるものになるよう慎重に検討したそうだ。

八戸タワーやキリストの墓など「ご当地ネタ」を織り込み、読者の住む地域が限られる地方新聞だからこそできるエイプリルフール企画に仕上げている。

〝うその程度〟には頭を悩ませました。

ただ、ベースがまったくないところから突拍子もないニュースを考えるのではなく、かつて実在した八戸タワー(遊園地の展望台)、読者の関心も高い義経伝説、地域の誇るべき景観である十和田湖・奥入瀬渓流など、身近な題材に絡めながら「夢」を語ろうとの結論に至りました。(同社読者センター)

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

応援メッセージも

掲載後、デーリー東北新聞社には公式SNSなどを通じて好意的なメッセージが届いたという。

●息が詰まりそうなニュースがてんこ盛りの昨今、こんな夢とユーモアにあふれた特別記事を出す地元紙に感服。

●それぞれの記事が、うれしくなるような「うそ」で良く考えられていました。

●こういった洒落が、世界平和に通じると思います。

●すごく夢のある企画。うそから出た真に期待。

4月1日は、市内あちこちで話題になっていたのも嬉しかったです。描いた夢をうそと知りつつ許容できる街の素晴らしさを再認識しました。(読者センター)

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

2018年4月1日のデーリー東北新聞社のエイプリルフール企画

一方で「新聞を信じて現地に行ってしまった」「エイプリルフールを知らない人もいるので微妙」といった批判的な意見もあった。

もちろん、当日の紙面が完全な正解ではなく、反省すべき点もありました。

反面、「本当の話かと思ったよ」という好意的な反応もあったことを踏まえると、嫌みのない驚きを提供する狙いは果たせたのではないかと思います。(読者センター)

デーリー東北新聞社のほか、地方新聞では東京都の東京新聞が毎年、エイプリルフール企画を展開している。

2018年のエイプリルフールも多くの企業が大ボラを吹き、世の中を楽しませた。

社会の利益に反したり他人を傷つけたりする悪意のフェイクニュースが世間を騒がす昨今。くすっと笑える明るく前向きな「うそ」は、きっと心を豊かにしてくれる。

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