シェア

わざと「後ろ向きでインスタ映え写真を撮る」イベントが開催中、その狙いとは?

WELgee代表の渡部清花さん

WELgee代表の渡部清花さん

東京都のJR品川駅高輪口から徒歩3分ほどのイベントスペースで6月19日から、色鮮やかな羽根をまとう写真を撮影できるイベント「#カラフルな #羽根」が開かれている。

イベント名の通り、InstagramやTwitterといったSNSに「#カラフル」「#羽根」といったハッシュタグを付けて写真を投稿してもらう企画だ。

ただし、「わざと後ろを向いて撮影する」という条件がある。

イベントの羽根の絵=東京都港区(2018年6月19日撮影)

イベントの羽根の絵=東京都港区(2018年6月19日撮影)

顔を写せない難民に関心を

美しい羽根をボードに描いたのは、日本で「難民認定」を申請する10人以上の人たちである。

6月20日は「世界難民の日」。故郷を追われた人々の苦難に思いをはせ、その勇気を称えようと国連が定めた。

母国を離れざるを得なかった人々には、政情不安などさまざまな事情が存在し、追われる立場の人もいる。SNSなど公の場に、正面を向いた写真を載せられない人も多い。

イベントの羽根の絵=東京都港区(2018年6月19日撮影)

イベントの羽根の絵=東京都港区(2018年6月19日撮影)

今回の企画は、一般の人にカメラに背を向けて写真を撮る体験を通じて、日本ではなじみが薄い難民問題に関心を持ってもらうことが狙いだ。

イベント案内文では「みんなが後ろ向きに撮影すれば、難民の人は特別な存在ではなくなります」とうたう。

色鮮やかな羽根は国籍や性別、年齢といった個人の属性を問われない未来への希望を表す。

当事者と知り合い「宝箱を開けた」

主催するNPO法人WELgee(ウェルジー)の代表で、東京大学大学院生の渡部清花さん(27)。

渡部さんは2016年3月、日本語教室で難民申請中の男性と知り合ったことがきっかけで団体を立ち上げた。

現在の29歳男性は、治安が不安定なアフリカの国から避難。母国では大学を出てシステムエンジニアとして働いていた知識層だ。

一般的に難民と聞くと、かわいそうといった暗いイメージがあります。

でも、彼のような人に出会い「可能性の宝箱を開けたな」と感じました。

難民として一括りにせず、それぞれの才能を生かして日本でやりたいことを一緒に実現できる社会を目指したいと考えました。(渡部さん)

WELgee代表の渡部清花さん

渡部清花さん

難民認定はより厳格化

法務省の資料によると、日本での1年間の難民認定者数は、数千人の申請者数に対してわずか数十人の状態が続いている。

今年1月には、就労のみを目的とした難民認定制度の濫用を重く見て、法務省は認定基準の運用をより厳しくしている。

前述のアフリカの男性は来日からすでに2年半以上が経過し、日本語もある程度話せるが、未だに難民の認定は受けられず、就労に制限がある。

将来は、国が平和になったら戻りたいと思います。

でも、身の安全が守れないなら日本のような平和な国に住みたいですね。(男性)

wings4

背を向けて写真を撮るアフリカから避難中の男性

後ろ向き写真の違和感を入口に

渡部さんらは日本の難民問題について理解を深めてもらうと、2016年10月から毎月、難民申請中の人と一般の人が交流するサロンを開いており、回数は20回に達した。

今回のボードにあるQRコードを読み込むと、サロンの案内を含めた特設サイトにつながる仕組みだ。

後ろ向きに写真を撮る違和感を入口に、少しずつ日本の難民問題について知るきっかけになってほしいです。(渡部さん)

イベント会場の坂に沿って、羽根を描いた明るい黄色、紫色、水色、桃色のパネルが並ぶ。

よく晴れた初日の19日にはさっそく、通りかかった若者やお年寄りらが撮影を楽しんでいた。

25日の展示終了まで、きっと多くの人が羽根をまとうことだろう。

◆イベント詳細は、特設サイトでご確認ください。
開催期間:6月20日(水)~25日(月)10:00~18:00

Posted: |Updated:

Text by 漆舘たくみ

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング