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【外来種】赤坂のアライグマは、ラスカルの成れの果てだった。

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赤坂のアライグマ騒動

皆さん覚えてますでしょうか。2018年10月、東京の繁華街・赤坂にアライグマが出没し、警察・消防出動の大捕物になりニュースで全国放送されたあの夜を。

ニュースによると、あの後アライグマは捕獲され警視庁赤坂署から業者に渡されたそうです。一部の動物愛好家の方から「殺処分しないで!山に返してあげて!」とネット上で署名運動とかも起こりました。

しかし、

あのニュースの事は覚えていても、

『何故アライグマが、東京のド真ん中の赤坂にいたのか』

までは知らない人も割と多いようです。

というわけで、まずアライグマという生物についてチョット知ってください。

洗いもしないし、熊でもないぞ、アライグマ

アライグマという名前ですが、水辺の食べ物を探っている様子が洗ってるようにみえただけで洗いもしなければ、クマ科でもありません。英語ではRaccoon(ラクーン)と言います。

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【原産地】カナダ南部〜パナマ

・運動能力バツグン。夜行性で水辺を好み、木登りや泳ぎも得意。

・幅広い環境に適応可能。野山だけでなく、市街地や民家の屋根裏に棲みつきゴミを漁る

顔…タヌキに似ているが、顔の真ん中にタヌキにはない黒い縦筋がある。ちなみにタヌキとググるとちょいちょいアライグマが混ざっている。

脳…学習能力が非常に高く、ハンパなく知能が高い

前足…人間のように物がつかめる5本指。尚且つメチャクチャ器用。ドアや鍵も開ける。

爪・牙…カワイイ顔してとても鋭い

尾…4〜7本の横シマ模様がある。タヌキにはない。

性格…個体差はあるが、成獣は気性が荒く凶暴。

雑食…小動物、魚類、亀、カエル、甲殻類、昆虫、残飯、果実、農作物、動物の死骸。何でも食べる。

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犬も襲う。

ちなみに、Rascal(ラスカル)とは

1、悪党、悪漢、人でなし

2、わんぱく小僧

という意味です。

アライグマと言えば?

しかし、なぜ北米原産の野生動物が赤坂くんだりをウロウロしていたのか。それには、

「アライグマといえば?」

と聞かれたら、日本人なら即イメージできるあのキャラクターが関係しています。そうです。あらいぐまラスカルです。実はこの問題、辿っていけば根底にいるのはあのカワイイ顔したラスカルだと言っても過言ではないでしょう。いやまぁ…あのアニメのラスカル自体には何の責任はないのですが…。

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アライグマの繁殖力は驚異的です。1歳から繁殖可能で1回で3〜6頭ほど生みます。しかも、日本には目立った天敵がいません。増え放題です。今や日本全国津々浦々にバッチリ定着しています。

赤坂で捕まった1匹がかわいそう!山に返してあげたい!気持ちはわかります。しかし、特定外来生物は飼育・栽培・保管・運搬などが原則禁止されています。大阪では生後間もないアライグマの子供を見つけ、届けると処分されてかわいそうだと飼育し山中に放した女性が書類送検されました。

もし、仮に日本中の何千何万というアライグマを全頭捕獲して原産地に戻そうと思っても、日本で生まれた彼らは原産地でも外来種扱いです。どんな寄生虫や病気を持っているかわかりません。受け入れは非常に困難でしょう。

かといって野放しにすると、今度は日本固有の希少在来種が彼らに絶滅される危険性をはらんでいます。

億単位の農業被害

北海道のアライグマの捕獲数はこの10年で7倍に増加し、平成28年度では1万2000頭以上が捕獲され、兵庫では約5300頭、大阪では約2000頭が捕獲されています。北海道、兵庫、大阪だけでこの数字です。農林水産省の調査によると平成28年度の被害額は全国で約3億3000万円に達しています。

とまぁ、こんな風に書いていくと

「ほら!外来種ってやっぱり怖い!悪者!」

ってイメージになると思いますが、そもそもアニメのラスカルだって、成長して手に負えなくなったから最後は自然に返したという話なのに、わざわざ輸入してペット用に売ろうと思った神経がどうかしています。

ラスカルの成れの果て

そして、自治体の捕獲作業に使われているのは当然税金です。本来ならば福祉や教育に使われるかもしれなかったお金が、誰かがアライグマで一儲けしようとした尻拭いに使われているのです。

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どっかの誰かが輸入したり、無責任に捨てたりしなければ、北米原産の野生動物が日本の農家さんが大事に育てたスイカを食い散らかしたり、国宝にザックリ爪跡残したり、都会のド真ん中でゴミをあさって逃げ回ることもありませんでした。

あの赤坂のアライグマは、ラスカルの成れの果てなのです。

アライグマの身になって考えたらゾッとするストーリー

試しに上の話を、人間からアライグマに置き換えてみましょう。

宇宙人でも、異次元人でも構いません。人間より遥かに知能が高く、かつサイズも5」倍はありそうな生命体がある日地球にやってきます。

自分たちより知能が低く、サイズも小さい我等人類の容姿は彼ら的には愛玩動物としてドンピシャだったらしく、大量に捕獲され彼らの星でペットとして売られました。

しかし、子供の時は可愛らしかった人間も大人になると知恵が付き、中には脱走したり攻撃するものが現れ、手に負えず野外に捨てられるものも多くなりました。

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人間たちは生きるためその星の畑から作物を盗み、固有種を食べ、文化財である遺跡に穴を開け住居とし、繁殖を始めました。やがて、その星で世代交代を繰り返した人間達の中には、地球にはいない微生物や病原菌が内在し、地球側的にも受け入れがたい存在となっていきました。

そもそも地球に戻ろうと思っても、宇宙船の操縦が人間には高度すぎて不可能です。孫・ひ孫の世代に至っては、もう完全にその星の生物として順応しています。今更、地球とか言われてもって感じです。

しかし外来種である人間は、その星の動物園に入れるにしてはあまりに多くなりすぎていました。そしてある日、人間の駆除が始まったのです。

業が深すぎるアライグマ問題

とんでもないSFホラーですが、アライグマにとっては現実です。

もともとは自ら招き入れ“ペット”と呼んだ動物たちが、今や“害獣”と呼ばれています。とはいえそこで偽善者ぶって彼らを救おうと言うものなんか釈然としません。

望みもしない国にペットとして輸入された挙句、飼いにくいと捨てられ、必死に異国で生き抜こうとしたら捕まえ次第殺せと言われる。それがこの国のアライグマたちです。そして、日本人は自分たちの生活と文化と固有の生物を守るために“駆除”という名の下に、お金を出して殺し続けなければならないのです。

 

この問題は恐ろしく業が深いです。

 

なぜ、輸入したのか。どうして、輸入を許可したのか。今悔やんでもしょうがないですが、手に入らなければ野に放たれることもなかったでしょう。外来種=悪者というイメージで伝えられることが多いですが、悪いのは本当に彼らでしょうか。しかも、そんないきものはアライグマだけではありません。

『侵略!外来いきもの図鑑』本日発売!!

などということを、ウニウニぶつぶつ言っていたら何と本を出すことになりました。

侵略!外来いきもの図鑑 -もてあそばれた者たちの逆襲-』という本が、本日2月26日発売です。(※地域によって遅れが出るところもあります。)

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アライグマはもちろん、ブラックバス、ブルーギル、アリゲーターガー、カミツキガメ、アカヒアリなどなど、外来種たちが、なぜ今の日本で王国を築いているのかその経緯と習性を、マンガとイラストでたっぷり紹介する一冊です。

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外来種を可愛くキャラ化したり、擬人化したりすると、殺処分対象である彼らに対して同情心が芽生えるから止めろ!という声もあると思いますが、とりあえず読んでみてください。

そういう外来種がこれ以上、野に放たれることがなくなるように描いたつもりです。

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基本的に全編こんなテンションでお送りいたします。

対象年齢は生き物や外来種に興味のある全年齢!

全部ルビ振ってあるので小学生でも読めます。

 

書店で見当たらなかった時は、書店員さんに↓こちらの画像を見せていただくと話が早いです。

 

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侵略!外来いきもの図鑑 -もてあそばれた者たちの逆襲-

もちろん、アマゾン↑でも購入可能です。

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図書館、図書室、美容室、理容室、歯医者さんの本棚なんかにも宜しくお願いします!

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