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盗用論文は学位に値せず!教育相を辞任させたドイツ大学の不正追及

zumsport1/YouTube

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日本では小保方晴子氏の博士論文不正疑惑を巡り、その学位の正当性について目下盛んな議論が交わされているが、ドイツではすでに数年来、とりわけ政治家による不正な学位取得が発覚、メディアや学会の論壇を賑わす事態が生じている。

学位論文不正発覚により地位を辞した、ドイツの教育科学大臣

ドイツ語で「論文での盗用」を意味するPlagiatという語は、ラテン語のplagium(人さらい)に由来する。その穏やかならぬ響きから伺えるように、ドイツの学術界で禁忌とされ、発覚すれば学位のみならず社会的地位をも喪失しかねない所業だ。

元ドイツ教育科学相アンネッテ・シャヴァーン氏も、そうした盗用の発覚によりその地位を退かざるを得なくなった一人である。キリスト教民主同盟の議員にしてベルリン自由大学名誉教授という華々しい経歴も持つ氏であるが、1980年にドイツ・デュッセルドルフ大学哲学部に提出した博士論文中に多くの不正引用が見つかったため、昨年2月に博士号を剥奪され、大臣職も辞すこととなった。

シャヴァーン氏の博士論文不正審査に当たったのは、同学部学部長ブルーノ・ブレックマン氏およびその同僚。審査の結果、氏の論文には60箇所に及ぶ無断引用が見つかり、明らかに故意な不正として学位取り消し処分に当たるという判定が下された。

異議に屈せず、学位取り消しを断行

ところがこれに納得しないシャヴァーン氏とその支持者たちは、逆に同大学による審査こそ欠陥ものだと反撃に出た。「彼らは私たちの学部をずぶの素人集団、あるいはもっとひどいものだと非難し、一言の謝罪も口にしません」とブレックマン学部長。

例えば擁護者の一人である当時のマックス・プランク研究所所長ペーター・グルス氏は、この騒動を「政治的興味の見世物にすべきでない」と学部長らに警告し、シャヴァーン氏への処遇が厳しすぎることに遺憾の意を表明。他の擁護者からは、論文が提出された1980年代の引用文化との違いを考慮せよとの批判まで飛び出ることに。

しかしこうした圧力に屈せずシャヴァーン氏の論文は不正と認定され、学位取り消し処分は断行された。審査を遂行したブレックマン学部長とその同僚シュテファン・ローバッハー教授に対しデュッセルドルフ大学は今月、「その学者の範たる決然とした勇気」を讃え、栄誉メダルの授与をもって表彰したという。

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