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シオニズム国家イスラエルに今、人々はナチズムの影を見る

a_maherpress/Twitter

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パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエルによる容赦ない軍事攻撃を受け、その建国理念であるシオニズムをユダヤ人の絶滅を唱えたナチズムに比する非難が現れている。だがこの類比は故なきことではない。

Minimalhome/Facebook

 

シオニズムもドイツ語圏出自

シオニズムの名はエルサレム市の丘シオンに由来し、その地に帰ること、つまり世界に離散したユダヤ人が再び結集しユダヤ人の国家を復興することを政治的には目指す。

このシオニズムという概念を打ち出したのはナータン・ビルンバウムというユダヤ系オーストリア人。そしてやはりユダヤ人オーストリア人であるテオドーア・ヘルツルのドイツ語による著作『ユダヤ人国家』(1896年)により、その理念は政治的構想化を見る。

つまりシオニズムとはヒトラーと同じオーストリア人によって構想され、『我が闘争』と同じドイツ語によってそのマニフェストが著された運動ということになる。

ナチズムが促進したシオニズムの実現

シオニズムとナチズムの歴史的接点はこれに留まらない。前者を生み出す母胎となったのは後者に代表される欧州の反ユダヤ主義に他ならず、さらに前者の目指すユダヤ人国家成立を促進し、結果的にその実現に寄与することになったのは、後者の迫害による数多のユダヤ人の欧州からパレスチナへの移住であった。

1933年から1941年にかけて、ドイツからパレスチナへのユダヤ人亡命者はおよそ55000人を数えたが、これは当時の入植者数の4分の1に及ぶという。

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「選ばれた民族」という教義

そして両者を否応なく結びつけるのは、双方が拠り所とする選民思想である。自分たちアーリア民族こそ選ばれた民であるとするナチズムの金科玉条は、皮肉にも彼らが蔑視するユダヤ人の根本教義、「神に選ばれた民族」を写し取ったものだったのだ。

「だがこの意識して聖書に背く者たちは、」とすでに1929年、ドイツのユダヤ系思想家エルンスト・ブロッホはナチスの実態を看破している。「なおもユダヤに近いところに生き、(ちょうど反ユダヤ主義者がユダヤ人でありたいと願いそう見せかけるのと同じように不毛に、加えてその意味を全く理解することなく)<選ばれた民族>というカテゴリーをコピーしているのである」(『森なきザクセン人』)。

このような思想的・歴史的接点があるとはいえ、シオニズムはむろんナチズムのように特定の民族、特定の思想信条の持ち主を殲滅しようとするものではない。両者を似せているのは、あくまで頑なな原理主義に基づく仮借なき軍事政策のありかたなのだ。

歴史的惨劇の被害者が加害者に転じる過程を繰り返さぬためにも、当国には和平を求める世界中の人々の声に耳を傾けて頂きたいものである。

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