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第一次世界大戦、ドイツのために戦ったユダヤの兵士たち

flickr_Beny Shlevich

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1914年に勃発した第一次世界大戦、今年はその開戦100年後に当たる。当時を回顧する報道が欧州メディアで目立つが、イスラエル出身外交官・著述家アヴィ・プリモーア氏へのドイツ・シュピーゲル紙によるインタビューは、同大戦時のユダヤ系ドイツ人兵士の置かれていた状況を伝えてくれている。

第一次大戦は、ドイツのユダヤ人にとってチャンスだった

「第一次世界大戦は(ドイツの)ユダヤ人たちにとって歴史的チャンスでした」とプリモーア氏は語る。19世紀後半よりドイツでも勢いを増してきた反ユダヤ主義への不安。この戦争で祖国ドイツのために共に戦う姿を見せれば、自分たちも真の国民として認知されるに違いない。そういう希望を彼らは抱いていた。

ユダヤ系諸団体は兵としての志願を呼びかけ、戦争への熱狂は党派を問わずユダヤ人の大半に及ぶ。レオ・ベック、ヘルマン・コーヘン、マルティン・ブーバーといった今日も知られたユダヤ系知識人たちもその例外ではなかった。ドイツ政府もまたユダヤ系兵士を軍事力として要し、以前ではありえなかった士官としての登用までも実現した。

敗戦の責を負わされ、ナチスにより名誉も抹消

だが戦局が危うくなるにつれその責任はユダヤ人に負わされるようになる。1916年には前線兵士を対象とした「ユダヤ人数調査」が登場。実際にどれだけのユダヤ人兵士が積極的に参戦しているのか数値として確認させ、その多寡を劣勢の責をなすり付けるための口実にと目論まれたのだ。

そしてついにドイツの敗北が決定すると、賠償問題により国内は混迷を極めることとなる。ナチスの台頭は周知のようにユダヤ人による敗戦の責を決定付け、ドイツのために勇敢に戦ったユダヤ人についても記憶から消去させる工作が行われた。ユダヤ人の名は戦死者リストから抹消され、ヴィルヘルム・フランクルのようにかつて受勲の栄誉に預かった英雄もその銘が記念碑から削り落とされることになった。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=CgFOlo8mRRI[/youtube]
DW(Deutsch)

【動画】ドイツのテレビ番組でユダヤ問題について語るプリモーア氏

小説で描かれる歴史の皮肉

インタビューに答えるプリモーア氏は1935年テル・アヴィヴ生まれ。ドイツからの移民二世である。1990年代にはドイツにてイスラエル大使を務め、両国相互理解のための仲介役として知られた。

昨年にはドイツ語による小説『甘美にして輝かしく』を出版。これまで注目を浴びる機会に乏しかった第一次大戦時のユダヤ人兵士の姿を描いた。氏自身の祖父も同大戦でドイツ兵として従軍し、ドイツのために戦ったユダヤ系兵士であった。もちろんその数年後、そのドイツ軍によって収容所に送られ殺害されるという運命を知ることなしにである。

「彼らは辛い思いをし、大層な代価を払いはしましたが、ついに承認を得ることが出来たのです」とプリモーア氏。「私たちは今日、その後歴史がどう進んだかを知っています、が、当時のユダヤ人には知る由もなかったのです」。

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