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高齢者こそ外国語を学ぶべきいくつかの理由

123RF

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一般に外国語の習得は若いうちのほうが容易とされる。では逆に、年を取ってからの学習は不利なのだろうか?

69歳米人女性、スペイン語を始める

アメリカ人女性キャロル・ウィーラーさんは69歳のとき決心した。メキシコに移住し、同時にその公用語であるスペイン語の学習を始めよう。その動機として挙げるのは、夫を亡くした悲しみを乗り越えたいこと、温暖で物価の安い地で暮らしたいこと、そして何より「故人は生涯をただ一つの国で過ごした」と自身の墓碑銘に刻まれたくないこと。

周囲は警告した。「あなたの歳じゃ大変ですよ」。スペイン語を大学で教えている親戚の言葉はさらに気怖じさせるものだった。「一回の授業に4時間は準備しろ、と私たちは生徒に言ってます」。

外国語学習は脳を活性化する

そうした危惧にもかかわらず、結果はウィーラーさんにとって好ましいものだった。「かつての私は外国語のレッスンを<ただ楽しみで>受講するような人間ではありませんでした。率直に言わせて頂きましょう、あなたはぜひそうした人間になるべきです」。

その理由として彼女は、外国語学習が脳を快活にするという点を挙げ、心理学者である友人の言葉を引用する。「新たな言語を学ぶことは、あなたの脳をジムに通わせるようなこと」。実際、外国語習得は脳に新たな神経回路を開き、その巡りを柔軟にするという。

「年の功」が言語学習に持つメリット

では習得に関して、子どものほうが吸収が早いというのは事実だろうか?「子どもは苦も無く学んでいるように見えますが、それはフルタイムで行っているからです」とジョンズ・ホプキンス大学の認知神経学者バリー・ゴードン教授は説明する。ただし「幼年期を過ぎると、発音を正しく聞き取るのは困難になります」。

一方、「外国語習得が致命的に困難となる時期、特定の年齢で露わになるような言語習得能力の生物学的制約などありませんし、老齢の方が若者と違った言語学習法を要するように人は成熟するわけではありません」と語るのはハーバード大学の教育心理学者キャサリン・スノー教授。

むしろ「年配の学習者には様々な利点があります。既に少なくとも一つの言語をよく知っているわけですし、言語能力を磨いてきた経験は新たな言語習得を早めます。一般に計画的学習は年配者のほうが有利ですよ。学習戦略、記憶する工夫、読み書き能力等といったリソースを所持しているのですから」。

老いて知る新たな世界の喜び

もちろん効率のみならず、習得の喜びも年配であるほど大きくなるだろう。ウィーラーさんの言葉がまさにそれを伝えているように。「毎朝起床したら外に出て、1年前までは一言も知らなかった言語で、時に笑いも交えて会話する。そんな時、私はうきうきとした気分になるのです」。

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