シェア

ドイツのイスラムが直面する5つのテーゼ

Flickr_ Raul Lieberwirth

Flickr_ Raul Lieberwirth

シャルリー・エブド社襲撃やISISによる人質殺害といった事件により、ヨーロッパに住む多くのイスラム移民をめぐる状況は厳しさを増している。人口の約5%にあたる400万人ほどのイスラム教徒が住んでいるとされるドイツでも(2012年統計)、国民の反イスラム感情はペギーダ(PEGIDA)の台頭等で露わだ。フランクフルター・アルゲマイネ紙によるドイツ・イスラムのための5つのテーゼを挙げた記事は、現在彼らが向かい合うべき問題を簡潔に提示してくれている。

1.ドイツのイスラムはドイツ語を話さねばならない。

移民に対するドイツ語習得・使用の要求は度々政治家の口に上り、昨年度も保守派のキリスト教社会同盟(CSU)が、移民の家庭でのドイツ語使用義務化を打ち出したことが論議を呼んだ。一方、年配のイスラム移民はドイツで生まれ育った2世、3世といった世代が祖国の言語を忘れることに不安を覚えている。宗教の授業や講話をトルコ語やアラビア語で行うのも対策の一つというが、それは非イスラムの友人とドイツ語でイスラムを語ることを困難にする。

2.ドイツのイスラムは、イスラム教がドイツおよびヨーロッパの傍流に留まることを受け入れねばならない。

ドイツおよびヨーロッパ諸国はキリスト教の伝統に立ち、それは彼らの文化や社会制度、価値観の根底ともなっている。一方で教会はといえば信徒の減少に悩み、イスラム移民の増加は伝統の破壊に繋がるのではと不安視されている。モスクや祈りの塔ミナレットなど、特に目に付く宗教的シンボルの建設は反イスラム化運動の声を呼び起こす火種ともなりうる。

3. ドイツのイスラムは自由と寛容の精神を持たねばならない。

ヨーロッパは啓蒙主義による教会との戦いにより自由、寛容、個人主義といった権利を獲得してきた。ドイツのイスラムにとっても、こうした価値観と信仰を両立できるかが課題となる。離婚や同性愛への寛容はもちろん、シャルリー・エブドによる風刺のような過激な表現の自由への対応も問われるのだ。

4. ドイツ・イスラムの共同体はより魅力的なものにならねばならない。

若者を惹きつけるには、イスラムもより魅力的になる必要がある。「進歩的な」ドイツで生まれ育った世代には、イスラムの伝統が古臭く退歩的に見えもする。「イスラム」の定義の問い直しがここでも要求される。

5. ドイツのイスラムはドイツの歴史に配慮せねばならない。

ドイツ人にとって特にナチスの蛮行、ユダヤ人虐殺は国民の負の歴史として常に配慮されるべきもの。だが移民である多くのイスラムはこの問題に関わりを感じていない。むしろ目下イスラエルと対立する中東諸国出身であることが二重の関係を強いており、昨年度のガザ地区攻撃に対する反イスラエルデモはその感情が表面化する機会ともなった。

Posted: |Updated:

Text by 宮城保之

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング