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ギュンター・グラス、死を前に第三次世界大戦への危惧を語る

Flickr_Christoph Müller-Girod

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13日に87歳で逝去した、ドイツのノーベル文学賞作家ギュンター・グラス氏。最期のインタビューで彼は、第三次世界大戦の可能性について語っていた。

世界各地での紛争は、夢遊病者のように新たな大戦へと突入させる

「我々は3度目の大戦に向かって進んでいます」、と3月21日、およそ逝去する3週間前、スペインの新聞”El País”のインタビューでグラス氏は述べていた。実際今日もいたるところで戦争は起きている。歴史の反省も忘れ「夢遊病者のように」、新たな世界大戦に突入することに不思議はないのだ。

特に氏が名指ししているのはウクライナ、イスラエルとパレスチナ、イラク、そしてISとシリアである。中でも現在はポーランド領であるダンツィヒ(グダニスク)出身であるグラス氏は東欧の状況に大きな関心を寄せる。

ソビエト連邦崩壊後、ロシアを含めた東欧の安全同盟再構築は十分に行われてこなかった。そこにアメリカが介入し、ウクライナをめぐりロシアとアメリカ・EUの深刻な対立をもたらすこととなった。グラス氏はヨーロッパ人に、アメリカの利益による介入を抑止し、プーチン大統領への理解を深めるよう呼びかける。

今日の語り部オスカルはハッカー

インタビューでは政治的紛争についてのみならず、世界の様々な社会問題についても語っているという。人口過剰、気候変動、原子力問題などだ。こうした問題の行く末について全く配慮はなされず、山積みになっていくことを苦慮する。

文学者としての創作活動でグラス氏は、政治的・社会的問題と格闘してきた。映画化もされた代表作『ブリキの太鼓』の主人公オスカル・マツェラートは今日では「別の反抗と戦わねばならぬ」別の人間となるだろう、と言う。「コンピューターフリーク、ハッカーのような者」として、今日の世界の語り手となるわけである。

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Text by 宮城保之

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